
中国語はご存知のとおり漢字を使う言語です。日本語のカナ文字のような表音文字がないので、海外の地名などの固有名詞を見ているととても面白いですよ。ちょっと一緒に見てみましょうか。
これ、どこでしょう。
印度Yìndù(インドゥー)
これは「インド」です。日本でも「印度」と書く時がありますから、お分かりになったのではないでしょうか。日本語と中国語で同じ表記の国名は結構たくさんあります。たとえば:
エジプト「埃及」
ベトナム「越南」
スウェーデン「瑞典」 他
次に、これはどこでしょう。
新西兰Xīnxīlán(シンシーラン)
これ、実は「ニュージーランド」です。要するに、「ニュー」の部分だけ意訳して「新」とし、「ジーランド」の部分は音訳しているのです。
このような「一部音訳」タイプのものも結構あります。たとえば、次のものはどこのことでしょうか。
白俄罗斯Bái’éluósī(バイオールオスー)
「俄罗斯」とは「ロシア」のことです。すると「白俄罗斯」は直訳すると「白ロシア」という感じですが、日本語ではこの国のことをそう呼んでいません。
実はこれは「ベラルーシ」です。
「ルーシ」が「ロシア」なんだろうな、とは容易に想像がつくと思うのですが、残った「ベラ」って何でしょう。「白」という意味なのでしょうか?
これ、友達のロシア語通訳さんに尋ねてみたところ、「ベラ」とは「白」という意味であることを教えてくれました!
地名なのに、意訳するのですねぇ。
意訳の固有名詞で面白いな~と思ったのは、イージス艦です。
イージス艦、中国語では
宙斯盾舰Zhòusīdùn jiàn(ヂョウスードゥンジエン)
と言います。
「宙斯盾(ヂョウスードゥン)」と「イージス」。音が全く違います。長年わたしの中でどうしてイージス艦をこういうのか全く謎だったのですが、ちょっと調べてみるとすぐにその謎は解けました。
実はこれも意訳だったのです。
「イージス」とは、ギリシア神話に出てくる「ゼウス」の持つ盾のことだそうです!つまり、「宙斯盾」とは、「ゼウスの盾」という意味だったのです。
参りました。ちゃんと意味を考えて意訳していたのです。中国人には脱帽ですねぇ。
●マグニチュード
地震の規模を表す単位はマグニチュードと呼ばれていますね。震度は各国で違うようですが、マグニチュードは万国共通のようです。このマグニチュードのことを中国語では
里氏 lĭ shì(リーシー)
と言います。例えば「里氏8级 lĭ shì bā jí」(マグニチュード8)というような感じです。
マグニチュードと「里氏」。これもまた全然音が似ていません。
でも少し調べると分かりました。マグニチュードという言い方は、国際的には(特に英語圏では)あまり使わないようで、むしろ「リヒタースケール」または「リクタースケール」(Richiter scale)という言い方を使っているのだそうです。これは「チャールズ=フランシス=リヒター」(Charles Francis Richter)というアメリカの地震学者が考案した単位だそうです。
つまり、「里氏」とは「リヒター氏」という意味なのです。
温度の単位で摂氏とか華氏というのがありますが、それと同じような感じですね。
摂氏はセルシウスという人が考案した温度の単位ですが中国語でセルシウスに「摄尔修shè ěr xiū」という字を当てたことから「摄氏」と言うようになったそうです。華氏はファーレンハイトという人が考案したものですが中国語でファーレンハイトに「华伦海特huá lún hăi tè」という字を当てたことから「华氏」と言うようになったそうです。
中国語では国際的な言い方であるリヒタースケールに習って「里氏」と言っているのは、なるほどよく分かりました。今度はなぜ日本語ではリヒタースケールという言い方が定着していないのかが不思議です(笑)。言葉に対する興味は尽きませんね。
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